俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
俺の驚きもなんのその。綾小路さんは事の状況をすぐに察したようである。
メアリ、とは。
なずなの生みの母親。
フィリピンからすすきのに出稼ぎに来ていて、おじさんと出会い、なずなを産んだ。
葬儀が終わり、査問委員会が始まる直前。
総本山の総帥である御館様がなずなと菩提さんの前に現れ、それぞれに一通ずつ手紙を渡した。
それは、おじさんからの遺言状。
……財産に関する遺言は、親父が後見人となって、うちの顧問弁護士に任せているみたいなのだが。
御館様が預かっていたその遺言状は、本当に手紙。伝えたいメッセージのようなものだった。
陰陽師という職業は、危険な現場にも身を置く事から、いつどこで命が果てるかわからない。
そんな時のために、予め遺言状を書き、総本山に預けておくという、陰陽師なら皆誰もが準備していることらしい。
おじさんが二人宛てに用意していた手紙を、それぞれ開く。
おじさんが命尽きる前に話していた財産分与のことや、親父の後見人のことはもちろん書かれていたようなのだが。
最後に、ひとつ。
おじさんからのお願いが。