俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
なずなの思いに気付かなかった、せめてもの罪滅ぼしではないが。
……俺に会いたいと泣いている、たったひとりの大切な女性を、誰がそのまま放っておけるだろうか。
俺に会いたいのを意地を張って我慢して我慢して、それでも堪えられなくて電話してきたというこの事実に応えたいと思わないヤツ、いるか?
なずなが俺を求めてきた。……考えただけでも、気分が高揚しないか?何でもやってやろうという気になる。
しかし、札幌と大阪だ。普通なら会うのは身を千切られるような思いで泣く泣く諦め、慰めの言葉でもかけるだろう。
だが、あいにく俺は……普通じゃない。
金持ちセレブの息子だ。
ここぞでこそ、だ。
金持ちの本領発揮といこうじゃないか?
そうと決まれば……!
「……忠晴ーっ!」
スマホを手にしたまま、忠実な執事の名を呼び、勢いよく振り返ったが。
忠晴は忠晴で、少し離れたところで、誰かと電話をしているようだ。
「……はい、抜かりのないようにお願いしますよ?それでは」
そして、通話を終えた後、俺の方を見た。
「伶士さま、私用ジェット手配済みです。今すぐ出発しましょう。車を用意してきます」