俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜

そんなポカンとしたヤツの隣には菩提さんがいて、そっちはどうやら笑いを堪えているようだ。



「ほら、本当に来ただろう。橘家の人間の行動力を甘く見ないことだね?」



それ、どういう意味ですか。

確かに、笑っちゃうぐらいあり得ませんけどね。

すると、ポカンと開いたなずなの口は、徐々にあわあわと動いている。

そして、ボソッと言葉が出た。



「な、何で来た……」



驚愕に見舞われたままのヤツの表情はおもしろいな、と思いながらも、その愚問には簡潔に答えてやる。



「何でって?決まってるじゃねえか。……なずなが俺に会いたいって言ったから。会いたいと泣かれてボーッと突っ立ってるような、そんな男じゃねえぞ?」

「だ、だからって本当に来るなんて思わな……」

「金持ちなめんなよ?こういう非常事態の不可能を可能にする時に使うんだよ、金は。この程度のこと、金ありゃ何とでもなる。この時間に間に合わなかったとして、フィリピン行きのフライトを遅らすことだって出来るんだからな?」

「無茶苦茶なこと言ってんな……」

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