俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
大きな瞳からは、涙が光って溢れる。
こっちに駆け出してくるなずなに両腕広げると、胸の中に飛び込んできた。
捕まえて離さないように、その身を十分に抱き締めると……温度を感じた。
不快な真夏の暑さとは違う、心地よい温かさが。
腕の中では、薄っぺらい体が弱々しく震えている。
「ううぅぅ……おまえ、バカだよっ。マジでバカっ」
「なずなこそあほだ、あほ。意地張ってこんなになるまで我慢するとか、あほ」
「うるさいぃぃっ……」
ホント、バカだしあほだよ。俺たちは。
強がって意地張って、素直になれなかったり。
絶対信じてるとか決めても、ほんの些細なことで揺らいだり。
相手のことをわかったような気になっていて、本当は全然わかっていなかったり。
相手のことを思って我慢して、自分の首を絞めて苦しい思いしたり。
「何度でも言ってやる、あほ。連絡のひとつもナシで俺が心配で泣いているとか思わなかったのかよ」
「そ、それはっ……」
「ひとりで突っ走り過ぎなんだよ。全然わかってねぇな?」
「うっ、うるさいぃぃ……」