俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜
絶対、帰ってくるよな?戻ってくるよな?
……だなんて、野暮な事は聞かない。
もし、なずなが母親と共に暮らすことになったとしても。
離れ離れになったとしても、それは結果として、今の俺に受け止める事が出来るような気がした。
遠く離れた場所にいたって、同じ空の下にいるんだと思えば、なんて事はない。
なんなら、俺がフィリピンに行って会いに行けばいいんだし?
実に簡単なことだった。
……だから、出立の時が来て、その手が離れて行っても、何も恐れることはなかった。
手が離れても、心が繋がっているとわかれば怖いものは何もない。
「伶士、行ってくる」
そう言い残して、ゲートの向こうに行ってしまったなずなは、最終的には笑顔で出立していった。
あんなにしんみりとした泣きっ面を笑顔に変えることが出来た俺は、それだけで存在意義十分じゃねぇ?
そう捉えると、自分自身すら誇らしく思えたりするのだった。
想いの証明という、そんな些細なことでこんなにも心持ちが変わるだなんて。