俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


彼のご遺体は、祖母と姉が引き取りに来たようだ。

ご遺体とのご対面の、その時。

祖母と姉は、ご遺体に縋り、泣き崩れた。

『あの時、無理矢理にでも連れて一緒に家を出れば良かった』とか、『娘が必死で守った大切な子を死なせてしまった』とか。

彼のことを何年も放置していたカタチとなった罪悪感に嘆きながら。



……あの彼にも、待っていてくれる人がいたはずなのに。



後味の悪い結末に残念でならなく、そう呟くと、綾小路さんは『きっと大石くんは、生きている負い目に囚われて、周りが見えてなかったんでしょうね……』と、また残念そうに返してくれた。



大切なものを護る、その為に必死になると……本当に大切なものが見えなくなってしまうこともあるんだな。

それには俺にも少なからず心当たりあるし。






……そんな回想をもしながら、また。

俺は青い空を見上げるのだった。




「橘パイセン、何ボーッとしてんすかー?試合始まりますよー?口開けたままポカーン!なんて、老人、老人……ぷぷぷっ」

「……」

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