マリオネット★クライシス
第4幕 「台本ナシで過ごしてみるのも、たまにはいいだろ?」
ゴオォオオオオッ!
轟音ととともに、夏の熱気を突き破るような勢いでジェットコースターが駆けていく。
近くから見上げるとその迫力は満点で。
ただただ口をぽかんと開け、「うわぁあ……」って間抜けな声を漏らすことしかできない。
「遊園地なんて、何年ぶりだろ」
大昔に家族で行って、あとは仕事で何回か……
その程度の経験しかないからか、歓声と悲鳴と笑い声に包まれた非日常の雰囲気にあっという間に染まり、自然にテンションがアガってくる。
どこに行きたいかって聞かれ、会話に困らないだろうなっていう理由だけで選んだ場所だったけど、正解だったかも。
天気もどうやら晴れてきたみたいだし、よかった……と、雲間からのぞく青空に目を細めていると、声がした。
「へぇ、ここも久しぶり?」
ちょうどチケット売り場から戻ってきたジェイは、さっきのつぶやきを聞いていたらしい。
わたしは苦笑しながら首を振った。
「久しぶりっていうか、この遊園地は初めて」
「え、初めて!?」
あはは、そりゃ驚くよね。
ここは23区内にあってアクセスも抜群だし、規模も大きいし、近場ではベストな遊園地だから。
「んー……仕事やレッスンで忙しくてね」
半分本当で、半分嘘。
どんなに忙しくても、一緒に行ってくれる友達がいれば……
と束の間――弾んだ声で騒ぎながら追い越していく女の子たちのグループを目で追いかけた。