マリオネット★クライシス

小さな子どもみたいなドヤ顔で、おじさんみたいなこと言うんだもん。
ついつい、口元が緩んでしまう。

パシャッパシャッ


おかしいな。
マスコミのカメラは苦手なのに……今はなんだか、ものすごく楽しい。

「撮るなら上手に撮ってよ?」

スマホのレンズに向かって、ピースしちゃうくらいに……


パシャッ


「……ほんと、放せなくなりそうだ……」

ジェイが、ボソッと何かをつぶやいた。
音楽に紛れて、はっきりと聞き取れない。

「え? 何? 話せない、って何のこと?」

わたしが聞き返すと彼はハッと顔をあげ、取り繕うように微笑んだ。

「卒業したら、東京で就職しようかなって言ったんだ」

「えっ?」

東京で? 就職、って……
もしかして、また会えたり、とか……いや、まさかね。

「ま、まだ数年は先じゃない。ゆっくり考えれば?」

「いや、来年には卒業したいし、早めにプラン決めて動かないと」

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