マリオネット★クライシス
好きじゃなきゃ、ここまで続けられるわけないじゃない。
レッスンだって、あんなに頑張って……
どれだけのもの、犠牲にしてきたと思ってるの?
好きだからでしょ?
……チリン。
チリチリン。
鼓膜にまとわりつく音を振り落とすように、軽く頭を振った。
「ユウ、今度はあっちの方行ってみようか。まだ行ってないと思う」
そう言って指さした手が、もはやごく自然にわたしの手を握る。
少しだけドキッとしたけど……今は、絡まった指先がありがたかった。
何か確かなものに、触れていたいと思ってしまったから。
大丈夫。
大丈夫。
わたしは――
「そういえば、2度目って?」
ふいに、何気ない調子でジェイがこっちを見下ろした。
「2度目?」
「仕事がなくなった時期、2度あるって言ってただろ。2度目の原因、まだ聞いてなかったから」
「それは――」
チリン。
チリチリン。
どこかから、あの風鈴の音が聞こえた。