マリオネット★クライシス

「フォローについては、こっちから誰かを向かわせるわ。あなたは、あの子をなんとしても早急に探し出しなさい」

『で、でもどこを探せば……』

「あなたマネージャーでしょ! そんなこと自分で考えなさい! 大体、携帯にはもうかけてみたのっ!?」

堪忍袋の緒が切れて叱り飛ばせば、『あ』と間抜けな返事。

『ま、まだです……』

ひっくり返った声を聞きながら、勘弁して、とネイルが施された指先で眉間を揉む。

会話をしているだけで、眩暈がしそうである。

『す、すみません! さっそくかけてみます!』

心なしか声を弾ませた相手を、「ちょっと待って」と呼び止めた。

「いいこと? そこを離れる前に、くれぐれも全員に口止めしておくのよ。仕事中にタレントが脱走したなんて外に漏れたら、うちの信用はガタ落ちだわ」

わかりました、という返事を最後まで聞かず、ブツっと通話を切った。
それくらいで自分の苛立ちが伝わるとは思えないが。

「よくもまぁ、やってくれたものだわ」

真っ赤な唇が歪み、ギリリと音を立てる白い歯が覗いた。


「聞き分けのない悪い子には、お仕置きをしなくちゃね……」


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