マリオネット★クライシス
第5幕 「オレはユウと、友達にはなれない」
お化け屋敷を出たわたしたちがやってきたのは、園内に併設されてるゲームセンター。
日本の“盛った”プリクラを撮ってみたい、というジェイのリクエストがあったからなんだけど……。
「ウソッSSランク!?」
賑やかな電子音が充満する中で、わたしは隣のマシンで叩きだされたジェイのスコアに、顎がっくん。通りすがりに軽い気持ちで「勝負してみる?」なんて言ったことを、あっという間に後悔した。
「ほんとにこれやるの、初めて?」
「初めてだよ」
なんでもないとばかりに飄々と答え、さらに高難度の曲をスタートさせる彼を、こっちはもう呆然と見つめるしかない。
今プレイしてるのは、音楽に合わせて画面をタッチしていく、いわゆる音ゲーというやつで。
わたしはスマホゲームで何度かやったことあるし、ダンスレッスンやボイストレーニングも受けててリズム感には割と自信がある。
だから絶対有利だと思ってたのに……とんでもなかった。
ナニコレ、目がチカチカしちゃいそうな速さなんですけど。
迷うことなく反応してフルコンボ、ってつまりノーミスでしょ?
もはや人間ワザとは思えない。
一体どんな反射神経と動体視力してるの?
せっかく、さっきお化け屋敷ですごい悲鳴上げてみっともないとこ見せちゃったから、名誉挽回! って思ってたのに……
うぅ、ここまで歯が立たないとは。
「……Yeaaahッ!」
ついに満足げにガッツポーズしたジェイの画面には、またもやSSの文字。
ありえない……。
「あー楽しかった!」