マリオネット★クライシス
「ねえ、ジェイって何かスポーツやってるの?」
「いや、全然。インドア派だから」
「絶対嘘でしょ?」
「ほんとだって。まぁメンバー不足だって誘われれば、やることもあるけど」
サッカー、テニス、バスケ、アメフト、ホッケー……ってすらすらと指折り挙げる彼に、またもやポカン。
「はぁ……」
それだけ誘われるってことは、つまり運動神経抜群ってことじゃないの。
天才か。
「ま、オレに勝とうなんて100年早いな」
ふふん、て鼻で笑われちゃった。
すごいのはわかったけど、なんかムカつく……!
「じゃあ今度はあれ!」
このままじゃ終われない! って、わたしが指したのはクレーンゲームだ。
運動能力に関係なく遊べるもの、わたしでも勝てる可能性のあるもの、そんな意図を読み取ったのか、ジェイはニヤリ。
「無駄なことを」
ふっふっふ、って上からな笑みに、こっちも否応なく煽られる。
「い、言ったわね? やってみなくちゃわかんないでしょ!」
「じゃあ5回勝負でどう?」
「望むところよ!」
ぎゃいぎゃい言いながらクレーンゲームが並ぶエリアに2人して移動。
どの台を選ぶかってことに集中していたせいか、それとも周囲の騒音のせいか、全然気づかなかった。
「……え、もしかして、結城さん?」
話しかけられるまで、彼女たちの存在に。