マリオネット★クライシス
目を丸くしてこっちを見ていたのは、雑誌のカジュアルコーデ特集から抜け出してきたみたいにオシャレ可愛い3人組――わたしのクラスメイトだった。
「あ……小坂、さん」
まさかこんなところで……と、盛り上がっていた気分が萎んでいく。
「うそぉ、誰かと思った! 声でもしかしてって思ったけど」
「どうしたの? イメチェン? 全然雰囲気違うじゃん」
「え、まさか、撮影中とかっ?」
いそいそカメラを探し始めた3人に、いやそれはない、と慌てて首を振る。
「ちち、違うよ。今日はプライベートで――」
「ねえねえ、彼、だれっ? 超かっこいいんですけど!」
鼻息も荒くわたしの腕を引っ張った小坂さんが見つめていたのは、ジェイだった。
「彼も芸能人? モデルとか!?」
「うんうん、カッコいもんね!」
3人の目が揃ってハート型に見えてしまい、なんだかモヤッとした。
「2人はどういう関係? 付き合ってるの?」
「や、そういうわけじゃ、ないんだけど」
説明するのは面倒だし、嘘をつく勇気もないし……というわけで、モゴモゴ言葉を濁していると、「違うんだ?」って普段より濃いめにメイクした小顔が華やぐ。
「じゃ、紹介してよ! 初めましてー結城さんの友達の、小坂遥夏って言います」
友達? ってツッコむ間もなく、わたしは押しのけられていた。
「あたしあたし、堀内美紅! 結城さんとは仲良くさせてもらってまーす」
「福永陽葵です、17歳です!」
「よかったら、一緒に回りませんかぁ? 私ぃ、ここすっごい詳しいんですよ!」