マリオネット★クライシス
やはり何か手を打っておくべきだろうか。
ただ、大人と子どもの端境期――18歳というのは、非常に微妙な年齢だ。
そこに恋愛が絡むとなると……
下手なことをすれば一時の感情に絆され、手と手を取り合って逃げてしまうかもしれない。
慎重に動かなければ。
RRRR……
物思いに沈んでいた潤子はパチッと目を開け、手元のスマホを見下ろした。
着信だ。
080……携帯?
普段なら、未登録の電話には出ない。
留守電を聞き、必要なら折り返すようにしている。
だが今日ばかりは違った。
もしかしたら何か、新しい情報がもたらされるかもしれない。
根拠のない期待を寄せつつ、ネイルが艶めく形のいい指先を画面に滑らせる。
「はい、もしもし……どなた?」
ろくでもない電話だったらすぐに切ってやろう、と心の準備をしながら、注意深く探る様に尋ねた。
ところがそれは、セールスでもイタズラでもなかった。
ほどなく聞こえてきたのは若い男の声で――潤子は大きく目を見開いた。