マリオネット★クライシス
ジェイの元へと戻りながらも、止まらない憂鬱なため息。
とりあえず……好きって気持ちは封印、だよね。
絶対この気持ちには気づかれないようにするとして。
どうやって断ろう?
そもそもこっちから持ち掛けた話だから、言い出しづらいってのもあるし……
いっそのことこのまま逃げちゃって、あとからラインで謝って――って、ID知らないんだった。
がっくり肩を落としたところで、カラフルなキッチンカーが目に留まった。
クレープ屋さんだ。わ、いい匂い!
そういえば、お昼の後何も食べてないな。
アトラクション梯子してぶっ通しで遊んでたし、なんとなくお腹もすいてきたような……
もう16時半過ぎ、か。
園内の時計で時間を確認してから、そうだ、って閃いた。
2人でクレープ食べてるとこ写真に撮って、記念に送りたいからって理由で、もう一度連絡先聞いてみたらどうだろう。
ツーショットはまだプリクラしか撮ってないし。
で、隙を見て急用ができたって離れて、後からラインで謝って……
うー……ん、相当無理やり感はある。
あるけど、もう時間もないしな……
迷いつつも、蜜に誘われる蝶みたいにいつの間にか、わたしの足は甘い匂いのする方へ向かっていた。