マリオネット★クライシス
え……え、えぇっ?
わたしたちのこと、じゃないよね!?
そ、そりゃ確かに、中から前後のゴンドラは見えた。
ということは、向こうからも見え――ぇえええ、まさかっ!
ドキドキしながら、ついつい耳ダンボになってしまうわたし。
「だいたい、あいついくつだと思ってんだよ、18だぞ18! クソガキが、色気づきやがって!」
18……18歳?
リズミカルに駆ける鼓動に、不協和音が紛れ込む。
やだ。もしかして、知り合い……だったりしないよね?
冷たい汗を滲ませつつ、ビクビクと振り返った。
「別にいいじゃないか、ブルースプリングってやつだよ」
「無理やり和製英語にしなくていいから!」
「羨ましいなら羨ましいって言えばいいのに」
「はぁ!? ……んなわけあるか!」
「あははっ今の“間”は何?」
植え込み越しにチラチラ見えるのは、2人の男性の背中だ。
興奮してまくしたてる茶髪の人と、冷静に突っ込んでる金髪の人。
どちらもちょっと年上、20代っぽい感じだけど……知り合いの声、ではないと思う。
ただ、スタッフさんの一人、とかだったら自信ないかも――
「だいたい、あのクソガキは自分がお尋ね者だっつー自覚がなさすぎるんだよ! 白昼堂々と遊びまわりやがって」