マリオネット★クライシス
「な、……っ」
(いつだ……? 一体いつ、そこに?)
さっきまで確かに、こいつは茶髪男たちと一緒にいたはずだ。
視線を外したのは、ほんの一瞬だけ。
しかも、物音どころか、かすかな気配すらしなかった。
(こいつは……、一体……)
全身がドラム缶になった様に、ドクンドクンと激しい動悸を響かせた。
指先が、冷たくなる。
「あなたなら、僕たちが知りたい情報をくれるような気がするんだけど」
言いながら、金髪男がおもむろにサングラスをずらす。
現れたのは、吸い込まれそうなエメラルド色の双眸で――
「っ……!」
その、パリコレモデルも裸足で逃げ出すような桁違いの美貌に、息を飲んだ。
「……とりあえず、名刺をもらえるかな。Mr.Detective(探偵さん)?」
穢れのない無垢な笑みと、眼差しに宿る怜悧な輝き。
そのアンバランスさに、声もなく慄然とする。
こいつは、只者じゃない――直感がそう告げていた。