マリオネット★クライシス
ごめんなさい、椿さん。
ごめんなさい。
ここであなたの名前を出せば、ジェイはキスを止めるかもしれない。
きっと、そう。
わかっているけど……わたしは何も言わない。何も言えない。
日本にいる間だけの、身代わりでもいい。
ズルくていいから……
「ユウ」
悩ましげな声が呼ぶ。
くったりと脱力して口づけに蕩けていたわたしは、そこでようやく、彼の手が洋服越しに自分の胸に置かれてることに気づいた。
「じぇ、えっ……」
「ちょっと……ごめん。なんか、止まんないかも」
「え、えっ?」
もう一方の手、長い指が襟元を暴くように押し広げ、首筋をきつく吸われた。
「ジェイっここでは、しないって……」
「そのつもり、だったんだけど。この状況で止められる男って、いないだろ」