マリオネット★クライシス

馬淵さんのことなんて、どうでもよかった。
事務所も仕事も、どうなったって構わないと思った。

身代わりだとしても。
今だけの遊びだとしても。
それでもいい。
ジェイが好きだから。

彼が望んでくれるなら、彼のものになりたい。
ラブホだってどこだっていい。
今すぐ、彼が全部欲しい……



ただ、

ただ、一つだけ……


「ジェ、ジェイ、お願い待って」
「待てない」

「い、嫌じゃないの! けど、あの、あのねっ」

ジタバタしながらなんとか「ちょっとだけ待って」って覆いかぶさる身体を両手で押しやり、その下から抜け出すことに成功した。

「……ユウ、こういうの、“ナマゴロシ”って言うんだっけ?」

恨めし気なカオを視界から外し、ぺたんと座り込んだまま手早く上着の裾を下ろす。
念のために、背中のリボンも結び直して……ふぅ、と深呼吸。

それから彼へ、視線を戻した。

「わ、わかった、から。その……エロオヤジ、の所には行かない。ジェイと一緒にいる。全部あげる。だから、その前に……」

「その前に?」

「一回だけ、電話かけさせて」

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