マリオネット★クライシス
「行かなくちゃ……」
声に出してつぶやくと、不思議なことに、急にそれが世界でたった一つの正解だって気がしてきた。
行かなくちゃ。
行かなくちゃ。
頭の中で呪文のように繰り返して。
もつれる足を動かし、ベッドから転がるように降りて、ドアへ――
ガチャッ
「あれ……ユウ? どうした? 電話、終わった?」
戻ってきたジェイは棒立ちになるわたしを見つけ、嬉しそうに破顔する。
「考えたんだけど、これから場所移動しないか? タクシーでもっといいホテル――」
「ごめんなさい」
「え?」
そのまま横をすり抜けようとしたんだけど、彼の反射神経の方が勝っていた。
素早く腕を掴まれ――「どういうこと?」って詰問調の鋭い声が突き刺さった。