マリオネット★クライシス

「行かなくちゃ……」


声に出してつぶやくと、不思議なことに、急にそれが世界でたった一つの正解だって気がしてきた。

行かなくちゃ。
行かなくちゃ。

頭の中で呪文のように繰り返して。


もつれる足を動かし、ベッドから転がるように降りて、ドアへ――



ガチャッ


「あれ……ユウ? どうした? 電話、終わった?」


戻ってきたジェイは棒立ちになるわたしを見つけ、嬉しそうに破顔する。

「考えたんだけど、これから場所移動しないか? タクシーでもっといいホテル――」
「ごめんなさい」


「え?」

そのまま横をすり抜けようとしたんだけど、彼の反射神経の方が勝っていた。

素早く腕を掴まれ――「どういうこと?」って詰問調の鋭い声が突き刺さった。

< 187 / 386 >

この作品をシェア

pagetop