マリオネット★クライシス
ジャングルジム、滑り台、鉄棒、噴水……
都会のオアシスを狙ったらしいそこに、遊んでる子はいない。
時間帯のせいかな、寂れてるって言ってもいいくらい静か。
一人になりたい今みたいな時にはぴったりだな、とありがたく思いつつ、ベンチに腰を下ろした。
どんよりと曇ったまま、曖昧に夜へ移ろうとしている空をぼんやりと仰ぐ。
――そもそもさ、そのスキャンダル、本当にデマなのか?
ジェイってば、ひどいよ。
あの言い方じゃまるで……
まるでお母さんがホントに不倫してたみたいじゃない。
ついカッとして、突き飛ばしちゃった。
それから逃げ出して……
途中まで彼が追いかけてきたことはわかってるけど、いつの間にか姿が見えなくなってたから、諦めたらしい。
「お母さんは、嘘なんてつかないんだから……」
大丈夫よ、振り出しに戻るだけ。
わたしは一人で大丈夫だもの。
そもそも、今のわたしに必要なのは恋人じゃない。
恋愛じゃない。
わたしには、やらなきゃいけないことがある。
だから、こうしてサヨナラできて……結局これでよかったんだ。
わたしは、間違ってない。
そうでしょう?
そう、思うのに……どうしてだろう。
今日の空みたいに、鉛色のモヤモヤが胸に溜まってるように感じるのは。