マリオネット★クライシス
「ご主人と仲いいんですね、羨ましいです」
「この子が生まれたら、しばらく外食どころじゃないと思うから」
膨らんだお腹を見つめるその眼差しはものすごく柔らかくて優しくて、すっかり母親って感じだった。
わたしも将来、そんな日が来るんだろうか……全く想像できないけど。
「いつ生まれる予定なんですか?」
「予定日はね、2週間くらい先――っあ!」
「ど、どうしたんですかっ?」
ニコニコしながら奈央さんはお腹をさすってみせる。
「今動いた」
「えっ!」
う、動いた?
「ユウちゃんに会えて嬉しいのかも。触ってみる?」
「い、いいんですか?」
「もちろんよ。ここら辺がね、足かな」
へぇ、位置ってわかるんだ!
びっくりしつつ、せっかくなのでそろそろとタッチ。
「もっとしっかり触っても大丈夫よ?」
「え、そそそう、ですか?」
手を引き寄せられ、めちゃくちゃ焦っちゃった。