マリオネット★クライシス

――ねーお母さん、須藤さん見なかっ……あれ、こんなとこにいたの?

――あら、栞ちゃん。
――ごめんごめん、今行くよ。


飛びのくように離れた2人。

名残惜しそうに絡まった、小指と小指……



――打ち合わせって、ほんとにわたし、行かなくていいの?

――大丈夫。お母さんと須藤さんでやっておくから。栞ちゃんは、一人でダンスレッスン行けるわね?

――うん、大丈夫だよ。


夕暮れの街に遠ざかる2つの影。

やがて重なった、2つの影……



血の気が引いていく。


どうして忘れてたんだろう?

見たじゃない。確かに。
わたしは……ちゃんと見てた。

気づいてた。
気づいてた。

わたしは、気づいて……いた。
あの2人が、デキていたこと。

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