マリオネット★クライシス
「……ユウちゃん」
柔らかなトーン呼ばれ、気がつくと手タレみたいな白い手が、固く握りしめたわたしの拳を包み込んでいた。
「っ……すみ、ません……」
慌てて頭を下げた途端ポタっと雫が落ち、2人の手を濡らす。
あぁ、ダメだ。
どうしたんだろう。
役者失格だ。
こんな風に、感情に乱されてしまうなんて。
でも……
なんか、今は……もう、無理……
「わたっ……わたし、……」
歪む視界を精一杯上げ、その大きな瞳を見つめる。
「っ……お、お母さんを、信じてます」
「うん」
「信じなきゃ、いけないんです」
「うん」
「だって、だって……」
嗚咽が喉に絡んで、醜い音を立て、
「お母さんがわたしに嘘ついたんだとしたら、今まで頑張ってきたこと全部……なんだったんですか?」
世界がすべて、白く染まっていく気がした。