マリオネット★クライシス
ガって音がしそうな勢いで、背後から伸びてきた腕に乱暴に抱きしめられた。
「……へ?」
羽交い絞めにするみたいに包み込む強引な腕――え、固い?
しかも。
頬にひんやり感じるこれって……ピアス?
奈央さんて、ピアスしてたっけ?
え? え?
混乱したまま恐る恐る視線を動かして、至近距離にあったサラサラの黒髪と長いまつ毛に、そのままピキンて固まる。
だってその人を、わたしは知ってる。
伏せた瞼の向こうの色がとても美しいことも――
「ジェ、ジェイっ!? な、なんでっ……」
どうしてここにいるの!?
いつからいたの!?
もしかして今の、聞かれてた!?
ドッとパニックに襲われてジタバタするわたしを戒めるように、拘束する腕に力がこもった。
「オレがいる、ずっとそばにいる。言っただろ、好きだって。ユウが好きだ。愛してる。何度でも言ってやる。世界中に言いふらしてやる」
あ、愛……って、でも、でも……椿さんのこと……
いいの?
自惚れちゃうよ……?
「ジェイ、あの」
「だから」
狼狽えるわたしの耳たぶへ、火傷しそうなほど熱い吐息が触れた。
「だからこの先泣く時は――オレの腕の中だけにして」