マリオネット★クライシス

「っ……ジェ、イ……」

守る様に抱きすくめられて、境目がなくなるくらい体温が交じり合い――ガチガチに強張った身体が、チョコレートみたいに甘く蕩けていく。

視界が、またヴェールをかけたように滲み出した。


あぁもう、まただ。
……どうして?

わたし、女優だよ?
どうして涙一つ、止められないの……?


「ジ、ぇ、イ……っ……わたし、っ」

「あぁ」

「……リオネット、じゃ……っいよ?」

「わかってる」

「違う、のっ……わた、し……」

「わかってるって」


「っ……マリオネットじゃ、ないぃいっ……!」


逞しい腕にしがみついて彼の存在を感じながら、ただ声を張り上げる。
ワガママな子どもみたいに。

あとからあとからあふれて止まらない涙が、頬をぐっしょり濡らしていく。


メイクが崩れてみっともないとか、誰かに見られたらとか、そんなことどうでもよかった。


ここ(・・)は、泣いていいんだ――そんな気がしたから。


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