マリオネット★クライシス
「それってもしかして、今朝いなくなったっていうタレントに関係ありますか?」
え、と目がテンになった。
「どうしてそれを……」
「同僚からメッセージが届いていたので。それで、そのことなんですけど……すみません、実は僕、ずっと本人の居場所を把握してました」
「え……えぇえっ!?」
ダメだ。
眩暈がしてきた。
ぶっ倒れそうだ。
車体を両手でつかんでふらつく身体を支えた潤子は、「どういうことなの?」と声を押し殺した。
今日一日、この件にどれだけ振り回されたか。
それを思うと、口調が若干きつくなってしまうのは仕方ない気がする。
「申し訳ありません。言い訳になってしまいますが、別件で動いてまして、連絡するタイミングが掴めなかったんです」
「別件?」
さっき言ってた“いろんな事情”というやつだろうか。
休日出勤を頼んだ覚えはないけれど、との疑問は残るが、まぁいい。
とりあえず、問題は解決した。
居場所がわかっているなら、わざわざ高木のご機嫌を取る必要もない。
やれやれとため息をついた――のだが。
「ただ、今はどこにいるのかわからないんです。途中で見失ってしまいましたから」
美しい顔が再び、ピキンッと引きつった。