マリオネット★クライシス

「ジェイ、の?」

何度か瞬き、どことなく決まり悪げな彼を見上げる。
どういうことだろう?

「覚えてる? オレに敵がいるって言ったこと」

――でも大体予想はついてる。オレには、敵がいるから。
――上手くカモフラージュしたつもりだったけど、どうやら日本にいるのがバレたらしいな。

「お、覚えてる、よ」

ジェイが何者かはわからないけど、とにかく誰かから追われてるんだよね?
もしかしたら、犯罪に関わってる可能性も……と、いろんなやりとりを思い出して、少し顔が強張った。

そんなわたしを見下ろした彼は、「聞いてくれる?」と静かに口を開く。

「これから全部、ユウに話すから。オレがどこでどういう風に育ってきたか、敵っていうのが誰で、そしてオレが何をしようとしてるのか」

「何を、しようと……?」

「今朝までは、そんなこと考えてなかった。今回を最後に、これが自分の運命なんだって全部受け入れるつもりだった。でも……」

チャコールグレイの瞳がひと際強い輝きを帯びたような気がして、ドキリとした。

「ユウがオレを変えた」

「わ、わたしっ?」
「そうだよ」

堅い意志を込めた頷きに、戸惑いが沸く。
だって一緒に過ごしたのは、たった半日程度でしょ?

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