マリオネット★クライシス

診察室を出て、入院エリアにさしかかった時だ。
わたしたちは女性の声に呼び止められた。

「分娩室の中まで入れるのは、ご家族の方お一人だけってことになってるんですよ。あなたは? どういうご関係?」

追いかけてきた事務員っぽいおばさんに咎めるように睨まれてしまい、奈央さんと困惑した視線を交わし合う。

そっか、拓巳さんが来るまでは、って思ってたけど。
家族じゃないわたしがいたら、迷惑か……


「すみません。主人とまだ連絡が取れなくて……主人が来るまで、でもダメですか?」

「ダメダメ! 規則ですから。あなたね、一人じゃコワイなんて言ってちゃダメですよ。そんなことじゃ立派なママになれないわよー? みんな一人で耐えてるんですからね」

なんかキツイ言い方だなって、ってムッとしちゃったけど、
部外者であることは事実だもんね……ここは大人しくしてた方がよさそう?

隣を伺うと、奈央さんも諦めたように肩を落としてる。


「……ユウちゃんありがとう、私は大丈夫だから、もう帰っ――」

『いゃあああーーーーっ!!』



どこからともなく聞こえてきた凄まじい悲鳴が、すべての音声をかき消した。

ど、どこの部屋?

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