マリオネット★クライシス
『もういやあああーーーーっ!! いたいーーーーっ!! 死ぬーーーー!!』
『叫ぶ元気があるならまだ大丈夫っ!! 頑張れ!!』
ここ、これは……今まさに生まれる、っていう場面なんじゃ……
『死ぬ死ぬ死ぬーーーーっ!!』
ひぃいい……い、痛そー……
やっぱり鼻からスイカ……?
引きつった顔をぎぎぎって動かすと、青ざめた奈央さんと目が合った。
「さ、行きましょう。母親なら、頑張れるはずですよ」
促す事務員さんの手が、彼女の肩に触れる。
華奢なそれがガチガチに強張ってることは、ここからもわかった。
大きなお腹を守るように抱えて、懸命に何かを堪えてるように見える。
たった一人きりで……
その姿を目にした時、ようやくわかった気がした。
さっき公園で、どうして放っておけないと思ったのか。
自分も何かしたいと思ったのか。
もちろん、単純に赤ちゃんを助けたいって思いもあったし、彼女がくれた優しさに恩返ししたいって思いもあった。
でもきっともう一つあって……彼女が、一人きりで震える彼女の姿が、まるで自分に見えたからだ――あの時の自分に。