マリオネット★クライシス
ナースさんも決められた時間ごとに様子を見に来てくれるだけだし、やっぱり残ってよかった、とは思う。
ただ……
一緒にいても、こっちにできることなんて声をかけて励ますとか、背中や腰をさすることくらいなんだよね。
ほんとにポンコツだな、ってさっきからずっと打ちのめされてる。
結局、あの事務員さんの言葉は当たってた。
出産はただただママが一人で耐えて、頑張るしかない。
周りは何もできないんだ。
奈央さんは心強いって言ってくれるけど、とんでもない。
何かできるかも、なんて思いあがりだ。
さっきの自分を蹴っ飛ばしてやりたいくらい。
わたし……何も知らなかったんだな。
ねぇジェイ、
呆れちゃうよね。
吐息交じりに独り言ちて、あとはひたすら、苦しそうに丸まった背中をさすり続ける。
頑張って奈央さん。
頑張って赤ちゃん。
どうか無事に出てきてくれますように――!
コンコン
あれ……ノックの音!
もしかして、拓巳さんが着いたのかな!?
2人して、パッと期待の目をドアへ向けた。