マリオネット★クライシス
室内で、『おめでとうございます!』って祝福の声と拍手が沸いて。
廊下のご夫婦は、手を取り合って泣き崩れた。
「おめでとうございます」
そっと声をかけると、涙で濡れた目を上げた2人は、見ず知らずのわたしの手をきつく握り締めた。
「ありがとうございますっ! ありがとう!!」
わたしが生まれた時も、同じだったのかな。
お母さん、苦しかったのかな。
あんな風に叫んだのかな。
たくさんの人に励まされて、そしてそれから、おめでとうって祝福されたのかな……
「ユウ!」
どうやって歩いてきたんだろう?
我に返った時には病院の玄関外、すっかり夜のとばりが降りたロータリーに立っていて。
点々と敷地内を照らすアプローチライトの先に、ジェイの姿を見つけた。
「拓巳さん、間に合った?」
その屈託ない笑顔を見た途端、胸の奥が柔らかい何かでいっぱいになる。
切なくて、愛しくて、温かい、何か――
突き動かされるように、彼へと駆けだしていた。