マリオネット★クライシス
守りたいと思った。
自分の手で、守りたいと。
もう手放せるわけない。
離れられるはずがなかった。
だから決めたのだ。
彼女を手放せないのなら、他のものを手放すしかないと。
――これから全部、ユウに話すから。オレがどこでどういう風に育ってきたか、敵っていうのが誰で、そしてオレが何をしようとしてるのか。
自分の決意を聞いた後、彼女はどうするだろう?
その先に嵐が待ち受けているかもしれないと知ってもなお、一緒にいてくれるだろうか?
反応を見る限り嫌われてはいないはず、とは思うものの、彼女を自分の事情に巻き込み振り回すことに、もちろん躊躇いがないわけじゃない。
申し訳ないと思う。
でも、どうすることもできない。
この感情はすでに、制御不能だから。
体内にこもる熱をもてあますように歪めた頬へ、その時ぽつりと最初の一粒が落ちた。
ぽつ、ぽつ……
とうとう雨が降り出した。
ユウはまだ、戻ってこない。