マリオネット★クライシス
【ブループリンスの皆さん、ありがとうございましたーっ!】
【ヒナタ君、かっこよかったですねー】
【ちょっとちょっと、瀬田ちゃん、目がハートになってるよー】
【やだぁそんなことないですよーっ】
え……これって……
【さて、ここシェルリーズホテル・サザンクロスホールより5時間の生放送でお送りしておりましたABC音楽祭も、いよいよ最後のゲストを残すのみとなりました。大トリを務めてくださるアーティスト・ファントムさんをこれからお呼びするわけですが……瀬田ちゃん、緊張してる?】
【してますよぉ。何しろ、彼がカメラの前に登場するのはこれが初めてですから。全世界が注目してる、といっても過言ではないんじゃないでしょうか】
ファントム……知ってる。
今話題のシンガーソングライターだ。
プロフィールは非公表、メディアへの露出もゼロで。
謎の天才ヒットメーカーって呼ばれてる。
そりゃ、彼が出演するとなればすごいことかも……
でもそんなことはどうでもいい。
わたしはジェイに会いたいだけで……
「座ってゆっくりご鑑賞くださいませ。わたくしは何か、温かいお飲み物と、軽いお食事を準備してまいりますね」
マリーさんがそっと出て行ったのも気づかなかった。
ただただ、画面に目が釘付けになっていた。