マリオネット★クライシス

「はは、は……」

何よそれ。笑っちゃう……
どこから、どこまで……わたし、騙されて……

「死ぬほど心配したのに……あの時、ケガしたんじゃないかって」

「あの時? ……あぁ、エロオヤジが突進してきた時か。あれはあっちが勝手にワゴンに突っ込んだだけで、オレは無傷だった。大丈夫」

「……そう」

ヒビが入ったみたいに、声がブレる。

よかったじゃない。
ジェイは本当に無事だった。

「助けてくれてありがとう、ってお礼言った方がいいんだよね。それとも、あれもシナリオ通りなの? 次のMVにでも使うつもりで――」

「まさか! そんなわけないだろ?」

心外だとばかりに見開かれた瞳から、視線を逸らした。

本当に関係ないのかもしれない、馬淵さんのことは。

でも……もう、何を信じていいのかわからないよ。


「だって、何もかも嘘だったんでしょ?」

一生懸命感情を抑えようとしたけど、ダメだった。
調子の外れた上ずった声は、まるで泣いてるみたいに聞こえた。

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