マリオネット★クライシス
「やだな、どの女性もちゃんと本気で愛してるよ?」
「3日で冷める感情は、世間一般では本気とは申しません」
「うーんそうかなぁ……たった一人だけ、なんてみんなどうして絞れるんだろう。世の中には美女が大勢いるじゃないか」
ねぇ、と賛同を求められ、呆れたように首を振るしかないマリーだ。
「まぁ、ライアン様もいつか“たった一人”の方に出会えるといいですわね。ジェシー様にご指南いただいたらいかがです?」
「んー……僕にはそういうの、無理だと思うよ」
めんどくさそうだ、と本音がこぼれたところで、ポケットの中で震えるスマホに気づいた。
「それはそうと、どうしてジェシー様は音楽活動のこと、秘密にしてらしたんでしょうねえ。こんな才能をお持ちなんて、ご両親だってさぞ誇りに思われるでしょうに」
打ち明けてもらえなかったことにちょっと腹を立てているらしいその声を聞き流しつつ、届いたメッセージを確認する。
キングからだ。
その英語の文面を流し読んだライアンは、エメラルドの瞳をパッと輝かせ――それから何食わぬ風を装って、「さぁね」と軽く肩をすくめた。
「むしろ、そこが問題だったのかもしれないよ」