マリオネット★クライシス
「歌手になったっていいし、モデルになってもいい。もちろん女優がいいならカムバックすればいいし、勉強して医者や法律家、宇宙飛行士になったっていい。何だってなれるさ」
何にだってなれる。
まるで魔法の呪文みたいに、その言葉はわたしの心の奥へ小さな、優しい明かりを灯した。
「わたしに……できる、かな?」
「できるよ」
力強い返事に、胸が躍る。
ワクワクする、そう言った彼の気持ちが、なんとなくわかる気がした。
「オレたちの人生を決めるのは、オレたち自身なんだから」
あぁそうだ。
その通りだ。
わたしたちの人生は、わたしたちが決める。
自由に。
決めていいんだ……。
憑き物が落ちたみたいに、っていうんだろうか。
気持ちがスッと和らいでいく。
仰ぎ見れば、墨のように黒いと思っていた夜空に、白く輝く星を一つまた一つと数えることができた。
いつの間にか雲も晴れていて。
なんとなく感じたんだ。
夜が明けるのは、きっともうすぐだって――