マリオネット★クライシス
シルクロードが栄えた時代に中国の泉州という街で始まった貿易会社を祖とするリーズグループは、親族間の繋がりを武器に大きく発展してきた組織だった。
グローバル化に伴いファミリー色は徐々に薄れてきたし、現総帥は徹底的な実力主義を掲げてはいたが、それでもまだ華僑と呼ばれる中華系役員が中枢で大きな顔をしているのは周知の事実。
そういう連中は総じて、ジェイやライアンなど、ピュアブラッドではないメンバーをファミリーに相応しくないと考えていたのだ。
<でももう、これで全部終わりだ>
カタン、とカップをソーサーに置く音が、ジェイにはどこか清々しく聞こえた。
<じゃあ総帥との会見は、上手くいったんだね?>
<まぁね>
<残念がっていらしただろう。総帥は君を高く評価していたし、後継者の筆頭候補だったことは事実だから>
<さぁ……どうかな>
言葉を濁したが、実は将来の計画については拍子抜けするほど反対されなかった。それどころか、知り合いに配りたいからと100枚以上の色紙にサインさせられた。
そのせいで、まだちょっと手が痛い。
<……総帥は、ライアンを推したいんじゃないかと思うけど>
ずっと燻っていた考えを、ふと口にしてみる。
途端、<僕!? まさか!>と笑いながら一蹴された。