マリオネット★クライシス
「心配しなくていい。オレだけだから、今ユウを見てるのは」
恥ずかしさを堪えてなんとか顔を上げると、カン違いしそうになるほど柔らかな眼差しが真っすぐ注がれている。
わたしとジェイ、世界に2人しか存在しないみたいに。
「う、ん」
あっという間に、さっきの音のことは思考の端っこに追いやられて。
彼にだけ、意識が集中していくのがわかる。
彼しか、見えなくなっていく――
「そうだね」
なんか身体が、熱い。
トクントクントクン……
鼓動が、速い。
平気……かな、わたし。
「行こうか」
……ううん、全然大丈夫。
たった半日だもの。
何も変わらない。
変わるわけないよ。
強く自分に言い聞かせて、わたしは彼と、肩を並べて歩き出した。
その道が、どこにつながっているのか知らないまま。