マリオネット★クライシス

ど、どうしよう……。
変なことにジェイを巻き込んじゃった。

ハラハラしながらも、どうしたらいいのかわからなくて動けずにいると、

「……さっき君さ、何て言った?」

注目を一身に浴びてるその人が、飄々と言った。ごく軽い調子で、ピアスを弄びつつ小首を傾げたりして、緊張感のカケラもない感じ。

「彼女に、面白そうな事言ってただろ? もう一回あのセリフ、大きな声でリピートしてほしいんだけど。『俺の方がいい男』で、『退屈させない』、だっけ?」

彼がわたしの“友達”であることを2人が理解してその表情を強張らせる頃には、お客さんたちの間に密やかな笑いが伝播していた。


「自分のこと“いい男”とか言っちゃう?」
「あのカオでって、ウケるー」
「イタいなー」
「鏡見てから言えって感じ」
「絶対彼女できないっしょ」

ヒソヒソ交わされる声はしっかり聞こえたみたいで、男たちは顔を赤くしたり青くしたり、めちゃくちゃ狼狽えてる。
そりゃジェイと比べたらダメでしょ、って若干可哀そうになっちゃったくらいだったんだけど――同情心はあっという間に吹っ飛んだ。


「っそおおっ! ふざけんなよ!」


叫んだ男の一人が、ジェイへ拳を振りかざし突っ込んだから!


「きゃあっ!!」


店内のあちこちから飛び出す悲鳴――

「ジェイっ!」

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