マリオネット★クライシス

「んん、おいしいっ!」

一口食べるなり、ナチュラルに叫んじゃったのはわたしです、ハイ。

だって、ファストフードってこんな本格的だったっけ? って味なんだもん。
進化してるんじゃないかと感動してしまうレベル。

「うわ、ジューシー! チーズが効いてるー……」

今食レポやったら完璧にできる自信あるなー、とか本気でうっとりしてたら。
隣からくつくつって、押し殺した笑い声が聞こえた。

「ハンバーガーでこんな感動するヤツ、初めて見た」

「え、あ……だってホントにその、美味しくて……久しぶりだし……」

揶揄うような視線を感じて、うろうろと目が泳いでしまう。
ちょ、ちょっと子どもっぽかった、かな?

「ほら、こっちもどうぞ」

差し出されたポテトに、「ありがと」って照れ隠しでそそくさと手を伸ばしたわたしは、そのまま勢いよく口に放り込んで……

「あ、揚げたてだって言ってたから――」
「あっつっ!」

「……気を付けろって、言おうと思ったのに」

「早く言ってよ!」
「食べるのが早いんだよ!」

コントみたいにツッコんで、次の瞬間、ぶって一緒に吹き出しちゃった。

涙が滲んじゃうほどケラケラ声を上げて爆笑しながら、こんなに笑ったのいつぶりだろって考える。
ヒナタ君と一緒の時は、いつも撮影の話ばかり――


「あ、柏木ヒナタだ!」

< 90 / 386 >

この作品をシェア

pagetop