マリオネット★クライシス
冷静に考えると、あれでよく付き合ってるとか信じられたよね。
いくら経験なくても、気づくべきだった。
なんておめでたかったんだろう。
次の恋愛は……もうちょっとマシにできるといいなぁ。
ま、今は仕事が崖っぷちだし、そんな余裕はないけど。
心の中でぼやきつつ再びポテトに手を伸ばしたところで、隣がやけに静かなことに気づいた。
「ジェイ?」
「……“ヒナタ君”ってさ」
どことなく不機嫌そうなチャコールグレイの瞳がじっと見つめていたのは、オールリピート中のCM画面。
「『バカヤロー』な人?」
ぼそっと言われ、とっさに誤魔化すことができなくて絶句しちゃった。
お、覚えてたんだ……今朝屋上で言った台詞。
「え、あはは、いや、まさかあんな有名人……」
「『ファーストキス返せ』の人?」
うわ、思いっきりバレてる。
「ちちち、違うから! 別人! も、もういいじゃないそんなの。ほら、食べよ!」
「ふぅん」
低音で唸った彼が、ふいに、なぜかその片頬を持ち上げる。
そして、引きつったわたしの顔をジッと見つめてきた。
「……やってやろうか? 同じこと」
「は?」