マリオネット★クライシス
「は!?」
唖然とするわたしを、「何、本気にした? あんなバカっぽいこと、やるわけないだろ」ってこの男鼻で笑ってきた。
つまり、揶揄われただけってこと!?
「な、な、っ……」
真に受けたこっちがバカみたいじゃない!
「せ、性格悪いって言われない?」
ぐぐぐ、ってテーブルの上で拳を震わせながら睨むと、端正な顔に人の悪い笑みが浮かぶ。
「悪い? 最高、の間違いだろ」
「どこがっ」
「少なくともオレは、あんな面倒くさい手は使わない。キスしたくなったら――」
言葉を切ったジェイがこちらをチラリ、妖しく流し見る。
「え?」
聞き返した時にはもう、大きな手がわたしの後頭部に回されていて。
有無を言わさず引き寄せられ、
「何す……っ!?」
唇に、柔らかな感触が触れていた。
「……ダイレクトに奪う。最高だろ?」
至近距離にある瞼が開き、夜明けの森のような色の瞳に映った自分のあっけにとられた顔を見つめ……