マリオネット★クライシス
2度目のキス。
びっくりした、けど……嫌じゃなかった。
全然、嫌じゃなくて、それどころか――
「あ、もうこんな時間だ。さっさと食べないと、時間なくなるな」
時間がなくなる……
言葉の意味を理解する前に全身がぶるりと震え、無意識に胸元をきつく掴んでいた。
……そうだ。
忘れちゃいけない。
ジェイと一緒にいられるのは、たった半日だけ。
夜には、馬淵さんとホテルに行かなきゃならない。
機嫌を損ねないように相手を務めて、新しい仕事に繋げて……
それは、自分で決めたこと。
だから逃げちゃいけないって。
ほんの少し前までちゃんと、納得してたはずなのにな。
どうしてこんなに苦しいんだろう……
のろのろとコーラのコップへ手を伸ばしたわたしは、うつむいて――突き刺さったストローをきゅっと噛んだ。
疼くような胸の痛みに気づかないふりして。