一人の時間を、誰かください
 私たちはずっと一緒だった。
 私たちの世界に、他の人間は必要なかった。
 一緒に夢中になるものを見つけて、一緒だから何も怖くなかった。
 一緒に秘密を共有できるから、周りから変な目で見られても耐えることができた。
 どんなに辛く痛い言葉を浴びせられても、友達ができなくても。
 私たちは一緒だから、寂しくなかった。
 
 それなのに。
 ある日突然、母が私を、私たちには必要のない人間たちの元へ、連れて行った。
 急に、そこで住むと言い出した。

 必要ない。
 “家族”になんかならない。
 
 あいつらは、私たちにとって邪魔でしかないのだから。
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