子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
ふたりが揃うと、和室にいるのも相まって日本人形が並んでいるように見える。私だけがそぐわず、いたたまれない気持ちになった。
今日もまた、私は母の視線に耐えられずうつむく。
同じ宝来の娘でありながら、長女の私は広い家の掃除をし、妹は老舗の和菓子と薫り高い緑茶で優雅なひと時を過ごす。もう二十年近く味わってきた日常だ。
二十五歳になっても私は、この家の家族として許されていない。
「その、ご用はなんでしょうか?」
振り絞るように尋ねると、くすりと笑う声がした。弥子だ。
「琴葉にいいものを見せてあげようと思って。結婚の申し出が来たの」
今日もまた、私は母の視線に耐えられずうつむく。
同じ宝来の娘でありながら、長女の私は広い家の掃除をし、妹は老舗の和菓子と薫り高い緑茶で優雅なひと時を過ごす。もう二十年近く味わってきた日常だ。
二十五歳になっても私は、この家の家族として許されていない。
「その、ご用はなんでしょうか?」
振り絞るように尋ねると、くすりと笑う声がした。弥子だ。
「琴葉にいいものを見せてあげようと思って。結婚の申し出が来たの」