子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 とはいっても、これはあくまで俺の予想に過ぎない。

 息子に自分の愛人を送り込むなどという、ぞっとする行為を理解できる他の理由が思いつかなかっただけだ。

「……ご両親にも理由があったのだと思います。でも……保名さんがどうして人は二面性があるって言い切ったのか、わかりました」

 彼女が俺に気を遣っているのを感じる。常識外れの義両親とて、俺の前で否定したくはないようだ。

 その気遣いを意外に思ったのは、彼女の家族が語っていた『他人を顧みない自分勝手な問題児』の像と重ならなかったせいだ。

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