子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「話してくれてありがとうございます。なんて言えばいいか、いい言葉が思いつかなくてごめんなさい。保名さんのことを知れてうれしかったです」

 また、うれしいと言った。彼女の喜ぶポイントが俺にはわからない。

「そんな親から生まれた俺も、夫婦生活を送る上で決定的に破綻した性格をしてるかもしれないぞ」

「保名さんは優しいですよ」

 既に破綻しているのだから、救いようのない性格をしているだろう。とでも反論されるかと思っていたのに、彼女は平然と、そして少し不思議そうに言う。

「おまえが俺について言えるほど話した覚えはないな」

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