子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
これまで耐えれらたはずの言葉を受け止められないのは、彼女の結婚相手が他でもない保名さんだからだ。
「あ、呼んだのはこれを教えたかっただけだから。もう仕事に戻っていいよ」
「廊下の掃除が終わったら、倉庫の整理をしておいてくれる? 夕飯までには終わらせておいてね。間に合わなくて食事が抜きになっても、文句を言わないでちょうだい」
はい、と言った声はきっと震えていた。
葛木家からの手紙をテーブルに置き、最後に一度だけ写真を見てからその場を後にする。
私の初恋の人が妹の結婚相手だなんて、知りたくなかった。