子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
ふたりのもとを逃げ出した私は、再び掃除をしながら保名さんのことを考えていた。
私が彼に出会ったのはおよそ十五年前。私が十歳で、彼が十三歳の時だ。
その日、宝来家には保名さんを含む葛木家の人々が訪れていた。
著名人が集まるパーティーに招待され、その場で和菓子を振る舞うと決まったためだ。職人は専用の衣装を身にまとうとして、それ以外の人間は客の目を楽しませるために着物をあつらえるという。それを宝来家で用意してもらえないかという話だった。
父はそこで後妻と弥子を紹介したが、私は除外した。
私が彼に出会ったのはおよそ十五年前。私が十歳で、彼が十三歳の時だ。
その日、宝来家には保名さんを含む葛木家の人々が訪れていた。
著名人が集まるパーティーに招待され、その場で和菓子を振る舞うと決まったためだ。職人は専用の衣装を身にまとうとして、それ以外の人間は客の目を楽しませるために着物をあつらえるという。それを宝来家で用意してもらえないかという話だった。
父はそこで後妻と弥子を紹介したが、私は除外した。